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> ニュース一覧 > 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.27・・・中年留学生の体が欲しがる? シアトルに生息する「コンブチャ」の正体(ライクス)- 2018.01.11(木) 10:00

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「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.27・・・中年留学生の体が欲しがる? シアトルに生息する「コンブチャ」の正体

ライクス

2018.01.11(木) 10:00

我が家のコンブチャ スーパーには、「コンブチャドリンク」の棚が

 我がルーミーは健康オタクだ。野菜と果物は全て有機もの、パンも全粒粉を配合したものが基本。おまけに愛犬ミコ、4羽のニワトリたち、そしてインコのつがいも彼女の健康志向の恩恵にさずかっている。ミコは酵素サプリメントを有機ドッグフードに混ぜて食べさせられているし、ニワトリは有機リンゴやキャベツのおやつが大好き。インコにやるバナナさえ、必ず「オーガニック」印がついている。
 いきすぎだろう、と思う私も、実はそんなおこぼれに預かる1人。ニワトリのおやつの残り半分のキャベツ、傷の付いたリンゴ等々をもらって、野菜ジュースを作っている。彼女にも分けているので、毎日、野菜ジュースが飲めるととても喜ばれている。
 40代のシングルとなると、お互い、体が資本だよね、となぐさめあうのが日常だ。さて「疲れた、疲れた」と、日々、中年留学の疲労感を訴える私に、ある時、彼女は「これを飲みなさい」と大きなガラス瓶をかかえて持ってきた。
 茶色っぽい液体の中に、キノコ雲のような物体が浮いている。
 「コンブチャよ。ロシアの宇宙飛行士も飲んでいたっていう、天然のスーパーヘルシードリンク。私が育てているの」
 あのね。
 「コンブチャっていうのは日本語で、海草から作った暖かい飲み物なの。日本人に言わせれば、これはコンブチャではありません」
 反論する私に、彼女は言い放った。「あなたが知らないだけ。インターネットで調べてみなよ」
 とりあえず飲んでみたそのコンブチャは、酢をそのまま飲まされたような味だった。彼女も「オェーっ。どろどろしてる!」と叫んでいる。
 中国から伝来した仏教が、日本で独自に発展を遂げたようなものか。こんな拡大解釈をしながら、アメリカで曲解された「コンブチャ」について私にはそれ以上の関心もなく、ネット検索もしないまま、数日後には忘れていた。あまりの酸っぱさに、二度と手を出す気にはなれなかった。
 しかしのちに、スーパーに出かけた時のこと。ある棚に、目を奪われた。
 「Kombucha」とラベルの貼られた瓶入り飲料がずらり、1棚を占拠しているではないか。「ショウガ味」「マンゴー味」と奇妙なフレーバーに仕立てられている。
 「あったよ、コンブチャがスーパーに!」
 家に帰ってルーミーに報告すると、でしょう、と勝ち誇ったように彼女は言った。
 スーパーで目線の高さの棚(すなわち、もっとも回転の速い商品であるということ)を占拠するとは、よほどのものである。コンブチャとは何者か。
 「紅茶キノコかあ」
 ウィキペディアによると、紅茶キノコとは、シベリアで伝統的に飲まれている発酵飲料。昭和49年に出た「紅茶キノコ健康法」という本で人気に火が付いたらしい。当時といえば、私は7歳。健康ブームに関心などもつわけもなく、ただ紅茶キノコという言葉は、日本の健康ブームの歴史を彩った1項目として、言葉だけ知っていた。でも日本では、その後「カスピ海ヨーグルト」(古い?)とかいろいろなブームの波が満ちては去った。紅茶キノコの影はなく、私あれ飲んでます、と言う人に出会ったことはなかった。
 シアトルでは、コンブチャ飲料の地元ブランドまである。「シアトルでオルタナティブヘルスブームが起こった90年代半ばに、私も自家製コンブチャにはまりました」といった記述をブログにしている人もいた。
 私が目を留めたのは、ウィキの、「消化器官全域にわたって毒素を中和し、免疫機能を高めると同時に、ビタミンB群の生産活動も確認されている」という下り。
 −−悪くないねえ。日々お疲れの身としては。高価なサプリは中年留学生には手が出ないが、ルーミーが親株を使って紅茶を注ぎ、培養しているこのコンブチャなら、常飲できそうだ。
 その日から「コンブチャ、コップに入れておいたよ」と言って2人分をよそうのは、私の役目になった。でも彼女は「オー、マイゴッシュ!」と言い残し、翌日まで飲まずに放置することが多い。スライム状の親株のかけらは、コップの中でさらに増殖するので、さらにスライミーになってしまうっていうのに。
 今では私がすっかり、コンブチャ推進係である。これぞ、ミイラ取りのミイラ化か。そのうち、犬のエサにもこっそり混ぜてやろうと思っている。




フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]

[電子書籍]
43歳から始める女一人、アメリカ留学 上巻
上巻
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下巻
http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/209500

問題少女 第1巻〜最終巻
http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/215228


株式会社ライクスより
末期ガンと聞いていましたが、2015年10月19日に亡くなられたことを知りました。
知人の紹介で福島市内で会ったのが出会いでした。とても素直な感じの素敵な女性だったと記憶しています。アメリカに勉強しにいくと聞いでアメリカ通信を書いてというのが「43歳から始める女一人、アメリカ留学」の始まりでした。電子出版を出したいという長田さんの思いは、今の世に少しでも痕跡を残したいとの思いだったのかもしれません。
売り上げは、全て長田さんの仏花とさせていただきます。
ありがとうございました。

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