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> ニュース一覧 > 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.31・・・英語のブレークスルーがやってきた!(ライクス)- 2018.01.15(月) 10:00

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「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.31・・・英語のブレークスルーがやってきた!

ライクス

2018.01.15(月) 10:00

サンフランシスコのバス

 渡米して6か月になろうとするころ、サンフランシスコにシンポジウムを聞きに行った。ブッシュ大統領の戦争責任を問う、といった講座や、元海軍司令官で、レズビアンの女性が、軍で同性愛者の権利がいかに侵害されていたかという報告など、とても興味深い内容、のはずだった。けれども、私は全くついていけなかった。

 単語が難しい、法律の名前などそもそものアメリカ政治・社会の背景についての知識がない、などなど、理由はいくつもあったと思う。としても、いつも自分が接している世界と違うコンテキストの講演になると、ここまで聞き取れなくなるのかと、ガクゼンとした。

 さらにトホホなことがまっていた。ランチタイムに、元海軍司令官の講師が、なぜかニコニコと私のいたテーブルにやってきたのだ。

「ハーイ」。「アウ……講演素晴らしかったです」。こう言ったきり、会話をつなぐことはできなかった。すぐに彼女は同じテーブルにいた他の講師や参加者たちと談笑し、私はいわば壁の花。1時間、固いサンドイッチをほおばりながら、愛想笑いをしてすごした。情けないばかりだった。

 半年も経つのに、どうして私の英語力は伸びないんだろう。2,3日、軽いウツ状態で過ごすことになった。

 その翌週だった。あれ、今日はテレビが聞き取りやすいなあ、と不思議に思う日があった。なじみのある話題だからかなあ、と思っていた。

 でもなぜか、いろいろなものが、これまでになく頭に入ってくる。大学の授業も、かつてなく理解することができた。新学期だから先生がゆっくりしゃべってくれているのかな、と思ったりした。それにしても、「なんか、聞き取れるなあ」と思う日が連続した。

 さすがに3日もそれが続くと、これ、もしかして英語力が伸びたってことなんじゃないかと思えてきた。一週間経つと、なるほど一つステージをクリアしたのだな、と確信するようになった。

 「ある日、ぼんやり理解していた言葉が、ガチーンとつながる感じ」とか、「突然、聞き取れるようになる瞬間が来る」とか、英語習得者からは「ブレークポイント」体験を聞いていた。でも私の場合は、ガチン、とか、瞬間、といった衝撃感はなかった。

 思うに、これまでは、英語話者のスピードに私の理解が追いつかず、文脈から推測する作業を繰り返しながら、聞き取ろうとしていた。だからいつも、話者のスピードから私の理解が、5、6秒、遅れてしまうのだ。ある文脈を理解した時には、話者は次のフレーズに移っている。「遅れてる」との自覚があるだけに、ますます焦りを募らせる。うまく相づちも打てないし、いつも、相手の話を誤解しているんじゃないかというおっかなびっくり感が消えなかった。

 聞き取れてるかも、と思えるようになった時には、そのタイムラグがほぼ解消された感覚があった。5秒がいつしか4秒になり、3秒になり、ついに1秒になった時に「あれ?」と気がついた、という感じである。もちろん今も、分からない単語はたくさんある。でも、同時に理解できると、相づちを的確にうつことができる。分からない単語があれば、「それって何?」とすぐに問い返すこともできるようになった。要は自信をもって、会話に参加できるようになった。

 未知の地サンフランシスコでは「まだまだ」だったのに、なぜ急に、と不思議に思う。慣れた土地、シアトルに戻ってきたことで「安心感」に底上げされて、そこにタイムラグ解消の時が重なったのかもしれない。心理状態は、外国語でのコミュニケーションに大きく影響するものだ。

 とにかく、タイムラグなく人と話ができるようになった。それが大きい。40代であっても、いやおそらく年齢は関係なく、諦めずにやってると語学は上達するものなのだと実感した。



フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]

[電子書籍]
43歳から始める女一人、アメリカ留学 上巻
上巻
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下巻
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問題少女 第1巻〜最終巻
http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/215228


株式会社ライクスより
末期ガンと聞いていましたが、2015年10月19日に亡くなられたことを知りました。
知人の紹介で福島市内で会ったのが出会いでした。とても素直な感じの素敵な女性だったと記憶しています。アメリカに勉強しにいくと聞いでアメリカ通信を書いてというのが「43歳から始める女一人、アメリカ留学」の始まりでした。電子出版を出したいという長田さんの思いは、今の世に少しでも痕跡を残したいとの思いだったのかもしれません。
売り上げは、全て長田さんの仏花とさせていただきます。
ありがとうございました。

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