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> ニュース一覧 > 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.36・・・メアドまでか、電話番号もOKか。「連絡先教えて」から浮かぶ人種問題(ライクス)- 2018.01.20(土) 10:00

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「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.36・・・メアドまでか、電話番号もOKか。「連絡先教えて」から浮かぶ人種問題

ライクス

2018.01.20(土) 10:00

 前回書いた、容貌についての劣等感の話の続きをしよう。白人の容貌を、「もっとも美しい」とみなす価値基準。日本でも、目は大きな方がかわいい、肌は白い方が美しい、髪は真っ黒より明るい色がきれい、と思う人が多いから、多くの女性たちは(最近は男性も)、そうなろうと、あれやこれやと手を入れている。だからここにいて私が感じる「それ」の、強迫度が増幅するのは、当然のことわりだ。 
 そこで、何が起こるか。正直なところ、白人の人々は私にとってとっつきにくい。美意識に由来するだけではないだろうが、彼らには彼ら独特の「仲間意識」のようなものがあるのだろう。同じ時期にアジアから来た大学院生に「ホワイトの人って、フレンドリーじゃなくない?」と聞くと、彼女はもはっきり言った。「うん、ホワイトの人は、表面的にはハーイ、ってハグしたりしてフレンドリーにふるまうけど、それ以上は近づけない。来ないで、って感じを露骨に表現するね」
 「ホワイトはフレンドリーじゃない」という傾向に、私が気づいたのは、来て3、4ヶ月経ったあたりだった。
 その学期の最後の授業で、なるべく「知り合い」を増やそうと考えた私は、隣に座って言葉を交わした人、授業でよく発言をしていた優秀そうな人など、何人かに「連絡先を教えて」と自分の手帳とペンを差し出していた。
 黒人、アジア人、ヒスパニック系のクラスメートは、名前とメールアドレス、携帯電話番号を書いてくれた。名刺をくれる人もいた。
 しかし白人のクラスメートは、なぜか、名前とメールアドレスだけ。
 もう一学期を終えて、また同じく何人かに「連絡先を教えて」を繰り返した時には、はっきりと、なるほど、白人は私に最小限の連絡先しか教えたがらない人が多い、と悟った。
 メールまでか、電話番号もOKか。区分けがはっきり存在する。
 多分に、私の語学力の低さに起因すると思う。日本人でもこちらに住み、仕事を持ち、アメリカ人の部下を持ち、公私ともにこの地での社会に根を下ろしている人はたくさんいる。
 けれども、だからこそ、むきだしの人間性が出るのである。来たばかりのアジア人留学生は、アメリカ人にとって、実際のところ、つきあっても何のメリットもない相手である。頼られるばかりで面倒くさい。そういう人間に、どう接するか。たぶん、私に連絡先をせがまれた白人たちは、「仲間じゃない人」「今後も仲間になりえない人」に、電話番号まで教える必要はない、と考えたのだ。
 人種問題は、白人対その他という単純な図式ではない。黒人の人の間にも肌の色合いによって優劣意識が発生するなど、根深く、細かく、いろんな区分けが存在する。
 ただ、こうは思う。自分の感じている、「白人はきれいだなあ」という容貌への劣等感。その意識こそが、人種問題を生み出す培養土になっているのだと。とはいえこの美的価値観は、「西洋へのあこがれ」という文化敵価値観も含めて、日本にいた時、子どもの頃から、学校で家庭で、すり込まれてきたもの。
 この劣等感をなんとかするには、「私は私」という自尊心を強く保つことが必要で、だからアメリカではみなが「self-esteem」という言葉を繰り返しているのだなあと思う。これまた、謙譲を美徳とするよう教えられてきた日本人には、難しい課題だ。



フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]

[電子書籍]
43歳から始める女一人、アメリカ留学 上巻
上巻
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下巻
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問題少女 第1巻〜最終巻
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株式会社ライクスより
末期ガンと聞いていましたが、2015年10月19日に亡くなられたことを知りました。
知人の紹介で福島市内で会ったのが出会いでした。とても素直な感じの素敵な女性だったと記憶しています。アメリカに勉強しにいくと聞いでアメリカ通信を書いてというのが「43歳から始める女一人、アメリカ留学」の始まりでした。電子出版を出したいという長田さんの思いは、今の世に少しでも痕跡を残したいとの思いだったのかもしれません。
売り上げは、全て長田さんの仏花とさせていただきます。
ありがとうございました。

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