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> ニュース一覧 > 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.35・・・中年留学生にとってメンタルの敵は「容貌格差」(ライクス)- 2018.01.19(金) 10:00

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「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.35・・・中年留学生にとってメンタルの敵は「容貌格差」

ライクス

2018.01.19(金) 10:00

「日本ではダメでも、アメリカにいけば、モテるよ。アジア人は西洋人より若く見えるからな」
 留学前、私のプライベートな窮状をみかねた何人かの男性から、このように励ましてもらった。中でも海外生活の豊富な人からそう言われると、非常に説得力があるように感じられた。そうだ、たしかに東京で知り合ったアメリカ人女性は、私より若いがシワはずっと多い。アメリカにいくと、たとえばパーティーなんかで、さりげなく年齢を聞かれて本当のことを答えても、「オー、ノー! あなたが40代だなんて信じられない」なんて言われちゃうのかな。こう想像すると、アジア人の遺伝子を持つ身であることはとてもアドバンテージなのだろうと希望を持つことができた。
 とんでもない妄想だった。
 大学のキャンパスを歩いていると、まず、気づいた。みんな、若い--。
 アメリカの大学院には一度職業を持った後に復学する人が多いから、様々な年齢層の人が多いのは事実だ。でも、そうはいっても学生の中心層は20代、30代。40代の日本人女性が、仮に、どんなに若く見えるとしても、本物の20代、30代と比べると、優劣は明らかなもの。
 トイレで鏡に映った自分の姿を目にすると、悄然とする。肌の輝きが、さっきまで眺めていた人たちとは、違う。そもそも立ち姿が違う。肩についた肉のもたれ具合、前屈みな首。ああ、若いとは肌のハリだけじゃない。何も意識しなくても、颯爽とした立ち居振る舞いをしているかどうか。そういうことなんだなと、感じ入る。
 そもそも、実年齢をバッチにつけて歩いているわけではないのだから、若者集団に紛れ込んだ時に「年齢より若く見える」(仮にそうだとしての話)にはなんの効力もないのだと、思い知らされる。
 それだけではない。残念ながら、容貌の人種間格差は明らかに存在する。
 白人も黒人も、アジア人と比べると、足がまっすぐに長くて、胸もおしりもプリっと大きい。顔があまり可愛くない女性であっても、すらりと縦に伸びた、マネキンかと思うほど長い足をスカートから覗かせていればどうだろう。それだけで、目を見張るほど美しい。
 なんてきれいなんだろう、とキャンパスを歩く女性たちを眺めてため息をつくたびに、それが、ボディーブローとなって、じわじわと自分を苦しめていることに気づく。きれいな人だなあ、という嘆息の陰には、それに比べて自分は、という卑下が潜んでいる。
 さらに私を苦しめる、中年ならではの発見がある。
 アジア人は若く見える、というけれど、それは中年世代までの話なんじゃなかろうか、高齢者になると、話は違うのではないかということだ。
 白人のおばあさんと、アジア人のおばあさんを比べてみれば、きれいな女性だな、と思う人には圧倒的に白人が多いと私は思う。年をとってくると、肌のはりや透明度はだれもが失うので、基本的な骨格が、より、ものをいうようになる。足がきれいで胸が大きくて、目の大きい白人女性は、おばあさんになると、美貌の同世代比較ではアジア人よりずっと得だ。
 いつまでも着飾って「女」をアピールする文化であるか、そうでないかという所属文化の違いもあるように思う。
 いずれにせよ、「容貌格差」の存在は、容貌の衰えを日々実感する年頃である中年女性を、真綿で首を絞めるように苦しめる。少なくとも、私は結構へこんでいる。そんなつまらないことで、アメリカに何しにきたんだ、若者と張り合いにきたのか、といくら自分で自分を鼓舞しようとも、そう簡単には「元気」になれない。
 なるべく、容貌以外の「ほかのこと」で、元気の素を得ていくしかないんだろうな、と思う。




フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]

[電子書籍]
43歳から始める女一人、アメリカ留学 上巻
上巻
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下巻
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問題少女 第1巻〜最終巻
http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/215228


株式会社ライクスより
末期ガンと聞いていましたが、2015年10月19日に亡くなられたことを知りました。
知人の紹介で福島市内で会ったのが出会いでした。とても素直な感じの素敵な女性だったと記憶しています。アメリカに勉強しにいくと聞いでアメリカ通信を書いてというのが「43歳から始める女一人、アメリカ留学」の始まりでした。電子出版を出したいという長田さんの思いは、今の世に少しでも痕跡を残したいとの思いだったのかもしれません。
売り上げは、全て長田さんの仏花とさせていただきます。
ありがとうございました。

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