アクアマリンふくしまで寿司に似ていると話題の生物、ついに種が判明！

いわき市のアクアマリンふくしまは、親潮アイスボックスコーナーにて展示していた「ウオノシラミ属の一種」の死亡後、共同研究により種を確定し、その論文を公表しました。

■種名
ホソウオノシラミ Rocinela angustata (グソクムシ科ウオノシラミ属)

■概要
2021年7月20日、アクアマリンふくしま本館2階の親潮アイスボックスにて「ウオノシラミ属の一種」として展示を開始し、SNSで情報を発信したところ、「寿司に似ている」と話題を集めました。生態的な情報が不足するなか、様々な取り組みをしてきましたが、2023年4月7日に脱皮不全により残念ながら死亡しました。(飼育期間652日)
死亡後は、齋藤暢宏氏*１、柳本卓博士*２と共同研究を行い、形態学と遺伝子解析によってメスのホソウオノシラミと結論づけられたため、論文の公表に至りました。
水族館には様々な目をひく生物が展示されているなか、見過ごされがちな「小さな深海の甲殻類」にSNSでスポットがあたりました。グソクムシ科は種同定に高い専門知識を要するだけでなく、DNA情報自体も少なく、飼育記録もほぼない未知の分類群です。しかし、今回は各分野の専門家のご協力のもと、種の解明に至りました。この2年間の記録を、現在展示中の個体に還元させ、本属の生態解明の一助にしていきたいと考えています。

■掲載論文
アクオス研究社 水生動物Aquatic animals(ISSN:2434-8643) 第2023巻 2023年7月31日公表
「北海道羅臼沖で採集されたホソウオノシラミRocinela angustata Richardson,1904(甲殻亜門、等脚目、
グソクムシ科)」 https://doi.org/10.34394/aquaticanimals.2023.0_AA2023-13
《共同研究》
齋藤暢宏（さいとうのぶひろ）*1、柳本卓（やなぎもとたかし）*2、日比野麻衣
*1　株式会社水土舎　環境調査部上席主任研究員
*2 国立研究開発法人水産研究教育機構　水産資源研究所　主任研究員

■展示について
今回、種が判明したため、展示中の同種とみられる1個体(2022年6月採集)を「ホソウオノシラミ」として和名掲示を行います。また、論文掲載内容については、本館2階「飼育員の研究レポート」でポスター掲示にてわかりやすく解説するとともに、今回の研究対象個体であった「ホソウオノシラミ」の標本も特別展示します。

■詳しくはアクアマリンふくしま公式サイトの下記ページをご覧ください
https://www.aquamarine.or.jp/new-animals/2023rocinelaangustata/

■お問い合わせ
アクアマリンふくしま（公益財団法人ふくしま海洋科学館）
〒971-8101 福島県いわき市小名浜字辰巳町50
TEL　0246-73-2525（開館時間　通常期⇒9:00～17:30　冬季12/1～3/20⇒9:00～17:00）
公式サイト　 https://www.aquamarine.or.jp/

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