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> ニュース一覧 > 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.6・・・日米「片付けられない女」対決を前に (ライクス)- 2017.09.25(月) 09:00

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「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.6・・・日米「片付けられない女」対決を前に

ライクス

2017.09.25(月) 09:00

自宅にて

 「あのミホがルームシェア? 無理だろう。あの混乱した家を、どうやってシェアするんだ」

 私はこう、噂されていた。ここアメリカに来る前の年、09年末に東京・高円寺の家でルームシェアを始めた時のこと。

 私の住んでいた高円寺は、音楽や映画製作を志すようなカルチャー系の若者が集まる街だ。若者に限らず、そういった、ふらふらとした人生を歩む大人も結構いて、私の家のお隣さんは、常時3、4人の日本人、外国人のルームメイトが入れ替わり、共同生活を営んでいた。「ミホが?」の発言主は、中国系カナダ人の若者だった。まったく、大きなお世話である。

 ちなみに隣といっても、我が家と隣は、外から見ると一軒の巨大な古家だった。よく見れば玄関は二つある。壁を共有して、120áuもある立派な母屋がお隣さん、そしてやや簡素な作りで後からくっつけた形の離れが、うち。うちも2階建てで、70áu近くあった。

 こう書くと、立派な古民家のように思われそうだが、どちらも、居むのはそろそろ限界だろうと思われるボロさだった。 天井にはネズミが走り回り、あげくの果てには、ネコほどの大きさのハクビシンが住み着いたこともあった。

 ネズミも、ハクビシンも、もしかしてウチが片付いていないから?

 害獣被害にあった時には、自分のせいかと、とても心配になった。

 それでも片付けようとはしなかった。そのうち、引っ越すからいいやと考えていたからだ。アメリカに行くかもしれないし、という思いもあった。けれどもより根本的には、「この家は大地震が来たら絶対に崩れる」という、確信があったからだ。早晩、引っ越さなければならない、圧死したくなければ。だからその引っ越しの時に、片付けよう。こう思っていた。

 私の家の混乱ぶりの主因の1つは、本の多さにある。壁3面は天井まで、前後二列に本を並べた本棚でつぶれていた。

 でも言い訳をさせてもらえば、家で仕事をしているのだ。この家は仕事場でもあった。そして私の仕事場の原風景は、大卒後、すぐに入った新聞社の記者部屋である。そこでは机の下が古新聞で一杯で、足が入れられないような人が何人もいた。それでいいんだ、とひな鳥が親鳥からすり込まれたようなものだ。私もあっという間に、書類山積記者の仲間入りをした。

 他人のせいにするような言い方で、書いていて恥ずかしくなったが、やはり人間の成長に、環境要因の影響は大きいと思う。

 だから会社を辞めても、仕事場といえば、そのイメージである。ただ、大きな問題はあった。

 自宅を仕事場にすると、本来は生活空間である、食事をするスペースや寝る部屋までが、職場化してきてしまうのだ。ゆるやかに、本が、雑誌が、書きかけのメモが、家中に散乱するようになっていった。

 「あのミホが」と揶揄される状態は、こうして少しずつ、できあがっていった。

 だからこそ、私にとっては、「ルームメイト募集」は、片付けのできない女からの脱皮を強制的に行う、大プロジェクトだった。

 我がルームメイトには、迷惑な話である。生活改善の実験の、道具にされて。

 そして因果応報とはよくいったもの。

 アメリカでは、今度は私が、逆の立場におかれていた。つまり我がルーミーは、私とのルームシェア生活を機に、「片付けられない女」からの脱出を、計ろうとしていたのだとは後から知った。



フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]

[電子書籍]
43歳から始める女一人、アメリカ留学 上巻
上巻
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下巻
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問題少女 第1巻〜最終巻
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株式会社ライクスより
末期ガンと聞いていましたが、2015年10月19日に亡くなられたことを知りました。
知人の紹介で福島市内で会ったのが出会いでした。とても素直な感じの素敵な女性だったと記憶しています。アメリカに勉強しにいくと聞いでアメリカ通信を書いてというのが「43歳から始める女一人、アメリカ留学」の始まりでした。電子出版を出したいという長田さんの思いは、今の世に少しでも痕跡を残したいとの思いだったのかもしれません。
売り上げは、全て長田さんの仏花とさせていただきます。
ありがとうございました。

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