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> ニュース一覧 > ゼロから学ぶ・不思議の国アメリカ--ジャーナリスト・長田美穂のシアトル通信 No28・・・日本からの移住者も? 子どものてんかんを治癒する大麻「シャーロットのおくりもの」(ライクス)- 2014.02.27(木) 16:49

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ゼロから学ぶ・不思議の国アメリカ--ジャーナリスト・長田美穂のシアトル通信 No28・・・日本からの移住者も? 子どものてんかんを治癒する大麻「シャーロットのおくりもの」

ライクス

2014.02.27(木) 16:49

シアトルタイムズの紙面より

「シャーロットのおくりもの」(Charlotte's Web)と検索すると、日本語でヒットするのは、世界的に有名な児童文学についての解説のサイトである。では英語で検索してみると、「マリファナで子どもの深刻なてんかん発作が止まった」というCNNのサイトをはじめ、いくつもの「マリファナと発作」がタイトルにならぶ記事がでてくる。

シアトルタイムズ(19日付)にも、「発作と闘う子ども、マリファナで治療」という記事が載っていた。

コロラド州に住む女の子シャーロット・フィギちゃんは、5歳の時まで、ドラギ症候群という遺伝子疾患のせいで、絶え間ない発作に苦しみ、車いすに乗り、ほとんど言葉も話せない状態だった。ところが2年後の今は、話し、走り、自転車にものり、ほぼ発作もなくなったという。

シャーロットちゃんの両親は、治療を求めて東奔西走し、万策尽きていた。医師に相談し、最後に試そうとしたのが、マリファナだった。マリファナに含まれる成分の1つ、CBDには発作を抑制する効能がある。けれどももう1つの成分THCは、逆に発作の引き金になる特性をもつ。

CBDを沢山含み、THCを極力含まない種類のマリファナを探していた両親は、コロラド州に住む医療用マリファナ生産・販売業者のジョエル・スタンレー氏のサイトを見つけた。スタンレー氏の栽培する、ある品種のマリファナを、オリーブ油に抽出し、シャーロットちゃんは1日2回、摂取しはじめた。そして劇的な回復を遂げた。

シャーロットちゃんの例が2013年の夏に報道されると、マリファナ使用が合法化されているコロラド州には、同じ病気の子どもをもつ人々が100家族以上移住してきた。このマリファナは「Charlotte's Web」と命名された。そしてほかの子どもの回復事例も報道され、動きは医療用マリファナ使用を認めるほかの州にも広がりはじめた。

カリフォルニア州でスタンレー財団の支部を始めた男性によると、日本からの移住希望者も含め、400人がウェイトリストに名前を連ねている状態だという。

子どもへのマリファナ使用。当然のことながら懸念の声もある。アメリカてんかん協会の副会長は、この劇的な成功例は一時的なものかもしれないと示唆、また子どもの脳にマリファナがどう影響するかは分からないことについても懸念を示している。科学的な研究がなされていないことを、コロラド州当局は危惧している。

マリファナ使用を認めているワシントン州にも、Charlotte's Webを扱う業者は存在する。2012年にマリファナ合法化に踏み切る住民投票が行われた時には、反対派、賛成派による論議が火を噴いていた。賛成派は、州の財政強化のために、そして合法化することで野放し状態の現状を逆にコントロールすることができる、と主張した。

反対派は、マリファナは「ゲートウェイ・ドラッグ」である、つまりはここを入り口(ゲートウェイ)として、いずれは覚醒剤乱用に流れる人が増えるとその理由を述べた。医師やカウンセラーなど薬物依存の実態を知る人の発言が多かった。

実際に、最近私が取材で会った元犯罪者も、「マリファナを皮切りに、ヘロイン、コカイン、LSDと薬物乱用の道に走っていった」と話していた。医療用途に目的を定め、定量を摂る人が使う分には、乱用の心配はないのだろう。しかし娯楽用へと門戸を広げると、話は違ってくる。

今後、回復事例が増えると、シャーロットちゃんの両親の勇気と先駆の精神に感謝する人がさらに増えるだろう。シアトルタイムズによると、FDAはすでに、マリファナ成分由来のCBDベースの薬(THCは含まない)の臨床試験の許可を英国の製薬会社に出している。

薬が完成するまでに、マリファナ合法州への移住者は増えるだろう。「ではわが州でも」と、あらたに合法化する州が現れることもありうる。一般的なマリファナ利用が広がることへの是非は、私には分からないとしかいえないけれど、医療用に関しては合法化州に住む人には大いにメリットがあり、いずれは日本も検討するべきだと考えている。「シャーロットのおくりもの」の今後にも、注目したい。 

フリーライター
長田 美穂
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。2010年8月に『ガサコ伝説『百恵の時代』の仕掛人」(新潮社)を刊行、10月よりシアトル在住。


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