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> ニュース一覧 > 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.32・・・ブレークスルーの後には、また壁が(ライクス)- 2018.01.16(火) 10:00

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「43歳から始める女一人、アメリカ留学」No.32・・・ブレークスルーの後には、また壁が

ライクス

2018.01.16(火) 10:00

一歩道を入ると、光景がまるで変わる

 英語の、とくに聞き取りの力にブレークスルーがやってきた話を書いた。けれども現実はまたしても甘くなかった。私はさっそく、あらたな壁に遭遇したのだった。

 春から、ボランティアを週1回始めた。夜、2,3時間、ボランティアの炊き出しグループの現場に参加し、その準備、片付けを手伝う。そしてホームレスの若者と一緒に食事をする、という仕事だ。

 ちなみにこれは美しい慈悲の心から始めたものではなく、私の研究の一環だ。私の取材テーマはアメリカの児童虐待の支援制度がいかに作られたか。ホームレスの若者の多くは、何らかの虐待、大人からの暴力の被害者だといわれる。小さな政府による弊害が目立つアメリカ社会ではあるが、アメリカの子どもの虐待支援は、人的、社会的リソースなど様々な面で、日本よりは充実している。私はボランティアでホームレスの若者にインタビューする訳ではないけれど、彼らに接することで、立派なアメリカの虐待被害者支援システムにも落とし穴があるのだという現実を、目で確かめたいと思った。いやもっと単純にいうと、いろんな人がいることを知りたかったから、なのだが。

 そこで私を待ち受けていた現実といえば−−。ホームレスの若者たちは、これまでアメリカで会ったどのアメリカ人よりも、難しい英語を話す。それにどの国でも同じかもしれないが、若者は、大人に遠慮がない。私の英語を聞くと、露骨に、面倒くさそうな態度をする。

 ある時、私の横に青い髪の若者が座った。「今日のご飯はどう?」とか、デザートのクッキーを沢山取ってきていたのを見て「甘い物が好きなの?」と話しかけてみた。彼は目も合わさず、ふん、はあ、との返事。しばらくすると、別のテーブルのアフリカ系の若者に、なにやらイチャモンをつけはじめた。
 「Suck」とか何とか、汚い言葉が飛び交っているのは分かるが、何を話しているのかは分からない。向こうも、怒鳴り返してくる。かと思えば、青い髪は、「ごめんよ、アイ、ラブ、ユー」とも言っている。どちらも、ものすごいスピードで言葉を吐き捨てている。これはケンカなのか、じゃれあっているのか。おろおろしながらも、スピードについていけず介入もできない。
 いや、めげてはいけない。1人で座っている若者を見つけたら、私は「ここ、座っていい?」などと笑顔で感じよく、横に座ることにした。あちこちにグループが出来ている中、1人でいる人は、よほどの理由がない限り、何らかの疎外感を味わっているもの。声をかけると、1人の若者はたいがい、「OK」と笑顔で応えてくれる。
 でも、私が話しかけ、会話を広げようとすると、だんだん、彼らの態度は変わってくる。彼らがイライラし始めるのが、はっきりと伝わってくるのだ。会話が途切れた途端に、突然、席を立って去っていった女の子もいた。これには傷ついた。
 かといって、彼らは、誰とも話したくないのではない。
 ボランティアは志願者が一杯で、毎週、新人が入ってくる。ある時、とてもきれいな20代半ばくらいの女性2人組が加わった。彼女らは、開始まもなく、若者達とすぐに話し込むことができていた。
 「ボブは、5年前にホームレスになって、仕事もなかなか続かず、これまで辛い思いをしてきた、メンタルもかなり落ち込んでいる、シェルターにはなじめず、いつも夜が来るのが怖いと話していました」 
 女性1人は、報告会で、こう言った。すごいなあ。短い時間に、彼の内面を引き出す彼女の傾聴力には、感動した。その彼女は、青い髪の彼とも、互いのミドルネームについて話をしていた。 私が「まだまだ」なのは、英語力のせいだけではないのだろう。としても、ホームレスの若者たちに接して、私は強い「まだまだ」感に、もう一度打ちのめされたのだった。




フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]

[電子書籍]
43歳から始める女一人、アメリカ留学 上巻
上巻
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下巻
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問題少女 第1巻〜最終巻
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株式会社ライクスより
末期ガンと聞いていましたが、2015年10月19日に亡くなられたことを知りました。
知人の紹介で福島市内で会ったのが出会いでした。とても素直な感じの素敵な女性だったと記憶しています。アメリカに勉強しにいくと聞いでアメリカ通信を書いてというのが「43歳から始める女一人、アメリカ留学」の始まりでした。電子出版を出したいという長田さんの思いは、今の世に少しでも痕跡を残したいとの思いだったのかもしれません。
売り上げは、全て長田さんの仏花とさせていただきます。
ありがとうございました。

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